こわれない建築
- 講師
- 石上純也(石上純也建築設計事務所)
- 担当助手
- 斧澤未知子(せんだいスクール・オブ・デザイン研究員)
【概要】
このスタジオでは「こわれない建築」のテーマに取り組んだ。建築を作る時には色々な条件があり、その条件を前提として自分の考えることを一生懸命やっていくということになる。たとえば、雨から身を守るなど、当然のこととして建築が前提とすべきとされ、それをクリアすれば建築が成立したと考えられるようなもののことである。そういった条件を、ある程度受け身で受け取ってから建築をつくるということが行なわれていることだと思います。しかしこのスタジオではそうではなくて、そもそも、建築とはどのような条件で成立するものを建築と呼ぶのだろうというところから考えて欲しい、建築のない世界に、はじめて建築をつくるときのような気持ちで設計に取り組んで欲しいと考えた。なので、単に与えられた設計条件に沿って空間を作っていくというのではなく、自分の想定した「建築」が、どのような条件の中で物理的にも、機能的にも、意匠的にも、成立するのかを考える。当然、そのためにはスタディの仕方から自分で考えなくてはならない。そういう素朴なところから、建築を考えることをして欲しいと考えた。
【成果物】
- 石上純也レクチャー
- 課題に先立って、石上先生から自作についてのレクチャーが行なわれた。近作である東京都現代美術館でのガラスの空気幕の展示、2010年のヴェネチアビエンナーレでの展示、KAIT工房、施行中の個人住宅、秋田のグループホーム、KAIT工房横のカフェテラス、四角い風船などの作品を例にとりながら、実験、ラフさについて、快適さについて、建築のイメージ、スケールについて、夢と建築などのキーワードを通して考え方、大切にしていること、アプローチの仕方などについて話していただき、石上先生の建築観について理解を深めることができた。
- エスキス1
- 今期の石上スタジオでは第一回目の開講が遅かったため第一回目までに受講生同士での自主エスキスを何度も行なっていたが、課題の意図を上手く汲みとれておらず、「こわれないとは何か」という概念について考えたという話ばかりになってしまった。そこで石上先生からは「何に対してこわれない」のかをはっきりと設定すべきだということ、提案したものが実際に建つくらいの案の強度を持つように建築を考えることが重要であることが伝えられた。
- エスキス2
- 前回指摘された「何に対して壊れないかの設定をはっきりさせること、その中で突き詰めて考えること」を反映して、受講生四人で一案として「1㎝角の棒材で荷重を支える建物に、ある程度の荷重をのせた時に壊れない」を考える案を制作してきた。「こわれない」「はっきりとわかる条件設定をする」を踏まえた上で、この課題で求められている事には驚きのようなものが含まれているのではないかと解釈し、「こんなにか細いものがこの重さを支える事が出来るなんて!」という驚きが含まれている案にしている。
- エスキス2へのコメント
- これに対し石上先生からは、この課題の意図は「出来そうにない事を実現する」というところにあるのではないのでわざわざ話を複雑にする必要はなく、今までの常識となっている考え方や、そこから出てくる形とは別のものを考え出すべきであり、その形が確かかどうかを確かめられるような実験を伴いながら進めるべきだという話がされた。また、その話を踏まえて30分1人10案の案出しとその善し悪しを話し合うことで、今後各自が進める案を決定した。
- 石上先生が来られるのが三回と限られた回数の中で、より良い物をエスキスに出せるよう、受講生の自主的なエスキスも多く行なわれた。
- エスキス3
- 前回のエスキスを踏まえて、受講生には(1)やわらかいものでできていることでこわれない建築。(2)川の流れの中でもこわれない建築。(3)豪雪地帯の雪の重みでこわれない建築。というテーマがそれぞれ選ばれ、そのテーマを元に進めた案の説明資料がなされた。
- (1)やわらかいものでできた建築
- やわらかいものでできた建築をテーマにすることを選んだ永田・鈴木受講生班は「やわらかい」のイメージをスポンジのような物に求め、ウレタンスポンジや発泡スポンジキットで作ったスポンジ、グラスウールなどで何かしようとした痕跡と、それがどんな建築になり何が可能になるかを考えた資料を提示した。
- (2)川の流れの中で成立する建築
- 川の流れの中で成立する建築をテーマに選んだ江川受講生は、敷地を設定し、橋の柱脚を参考に文献資料を参照し作った模型で川の中で流れを受け流す力について実際に広瀬川で沈めて確かめてみるなどの実験を行ってきた。
- (3)雪かきせずとも豪雪地帯の雪の重みに耐えるような建築
- 雪かきせずとも豪雪地帯の雪の重みに耐えるような建築をテーマに選んだ貝沼受講生は、敷地の設定と、雪の種類や豪雪地帯での建築の特徴(屋根の勾配や、屋根からの雪の落ち方など)を調べ、積雪に対応するための建築の形態の操作の面と、環境の操作の面からアイデアを出した。
- 2014年度 春学期 PBLスタジオ1 メディア軸
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- 2014年度秋学期Fラボ3:エネルギースマートなイノベーション都市“仙台の明日”を考える
- 2014年度春学期CiR:文学館を再編集する
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