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あいちトリエンナーレ分校

あいちトリエンナーレ分校

講師
五十嵐太郎(東北大学大学院工学研究科都市・建築学専攻教授)
石田 壽一(東北大学大学院工学研究科都市・建築学専攻教授)
小野田泰明(東北大学大学院工学研究科都市・建築学専攻専攻長、教授)
本江 正茂(東北大学大学院工学研究科 都市・建築学専攻准教授)
研究員
岩澤 拓海(東北大学大学院工学研究科都市・建築学専攻 科学技術振興研究員)
斧澤未知子(東北大学大学院工学研究科都市・建築学専攻 科学技術振興研究員)
鎌田 恵子(東北大学大学院工学研究科都市・建築学専攻 科学技術振興研究員)
山田 哲也(東北大学大学院工学研究科都市・建築学専攻 科学技術振興研究員)

【概要】

日時:2013年10月5日(土)〜6日(日)

会場:愛知芸術文化センター 12F アートスペース G(名古屋市)、県内各所

オープニングレクチャー「せんだいスクール・オブ・デザインとは」

あいちトリエンナーレ

日 時:2013年10月5日(土)
会 場:愛知芸術文化センター 12F アートスペース G(名古屋市)
指導員:五十嵐太郎(東北大学大学院工学研究科都市・建築学専攻教授)
    小野田泰明(東北大学大学院工学研究科都市・建築学専攻専攻長、教授)
    本江正茂 (東北大学大学院工学研究科 都市・建築学専攻准教授)

初日はオープニングレクチャーとして、SSD 校長の本江 正茂から SSD の概要説明、続いて、SSD 専任講師から 各スタジオのこれまでの取り組みなどを紹介。 本江より、『コンパクトなワークショップをするというこ とは、いつも大切にしているものが如実に出るというこ とかなと思います。アウェイで戦える人材を育成すると いうことを掲げており、愛知県でその実践ということで やってきました。』と挨拶。

「スローウォークとは/名古屋の地形とスリバチ散歩/災害からの復興とは/ 3.11 シンサイカルタとは」

16:00〜17:00:受講生との対話も交えながら、翌日のワークショップ内容について説明/議論。

あいちトリエンナーレ
メディア軸:スローウォークの説明や自己紹介
あいちトリエンナーレ
社会軸:伊勢湾台風の解説や輪中の成り立ち/生活について説明
あいちトリエンナーレ
環境軸:翌日のルートを確認しながら、受講生が持参した古地図を見て知識を深める
あいちトリエンナーレ
コミュニケーション軸:シンサイカルタについて説明

コミュニケーション軸「3.11 シンサイカルタ」

「3.11 シンサイカルタ」は、子供から大人の幅広い世代に向けて東日本大震災の記憶と教訓を伝え、世代を超えて防 災意識を持ち続けるための情報伝達ツールである。本 WS では 3.11 シンサイカルタで実際に遊んでもらい、その後 各自がオリジナルカルタを制作することで、これからの震災に必要な備えについて考える。

10:00〜11:00
あいちトリエンナーレ まず武田より、シンサイカルタの説明をし、受講生でカルタ取りを実践した。 現地特有の災害を想定し、山梨で出張授業に行った際には、富士山噴火を想 定した絵札制作を行った。絵札の裏には解説として当時のエピソードなどが 書き込まれ、それを読み上げて共有することが大切、と説明があった。また ヒアリング時のエピソードも語られ、被災地の気持ちを代弁する役割も持つ とのこと。今回、カルタで遊んだ時間は約 30 分だったが、小学生らと行って もだいたい同じくらいで、受講生からは「ゲームだから繰り返し遊べて良い」 という意見が出た。最初に作ったカルタは、その時点から状況が変化したこ となどで内容がそぐわなくなったので現カルタを制作した経緯がある。過去 の災害のあとに作られたカルタの例(関東大震災など)を勉強し、小学生が 実際に作ったカルタを見ながら、実際に制作の参考とした。

11:00〜14:30:あいちトリエンナーレ揺れる大地(あいちとりえんなーれゆれるだいち)の絵札と読み札を制作。

14:30〜16:00:合同発表会

あいちトリエンナーレ
カルタ取りの実践
あいちトリエンナーレ
絵札と読み札の制作
あいちトリエンナーレ
各自が書いた読み札を検討
あいちトリエンナーレ
コミュニケーション軸の発表

日 時:2013年10月6日(日)
会 場:愛知芸術文化センター 12F アートスペース G(名古屋市)
指導員:本江正茂(東北大学大学院工学研究科 都市・建築学専攻准教授/ SSD 運営委員長)
    清水 葵(SSD2011 年度秋学期コミュニケーション軸修了生)
    武田恵佳(SSD2011 年度秋学期コミュニケーション軸修了生)

環境軸「名古屋凹凸地形探索」

城下町名古屋は、半島状の那古野台地の突端に名古屋城を、台地面に武家地を配し、低湿地には掘割を巡らせることで成立した計画的かつ地形コンシャスな都市である。現代の町なかにも残された微地形や水路・川跡(水系)などに着目し、地形的なレイヤーから都市を読み解くフィールドワークを実施する。

9:30〜13:30:フィールドワーク(約10.5km)

13:30〜14:30:フィールドワークのまとめ
名古屋在住の人のコメントはピンク、名古屋より東に在住の人のコメントは青、名古屋より西に在住の人のコメント は黄色と、付箋の色をを変えて地図上の歩いたルートに書き込んだ。

受講生コメント
・地形の起伏を意識すると街の成り立ちを知るヒントになる。
・防災の観点でいうと、自分たちの足元を見るのは意味がある。
・堀川は人工の川だか、今残っている川沿いの構造物はかなり危険に見えて、防災の必要性を感じた。
・名鉄瀬戸線は以前、外堀を通って堀川まで瀬戸物を運ぶ役目を担っていたことが気になった。
・名古屋は平野で山谷が少ないが、建物の造形が面白いと思った。歩いていると普段見えないものが見えた。
・四間道の屋根神さま(屋根の上に祭られた小さな社)や、白壁地区のマンションの奥にあった残している門に込めた思いを書いた碑があり、こういうものを見つけられると楽しかった。
・名古屋にある三つの水系は輸出などを目的に作られ、堀川沿いは材木屋が多く、川で上げた木材を道路を跨いだレールで製材所まで運んだなごりがあり、名古屋の人間として注目して見て行きたい。
・近所に住んでいるが、普段、あまり歩かないので、改めて発見したことが多かった。

14:30〜16:00:合同発表会

あいちトリエンナーレ
フィールドワークで歩いたルート
あいちトリエンナーレ
フィールドワークの様子
あいちトリエンナーレ
地図上に歩きながら気がついたことを付箋で貼る
あいちトリエンナーレ
環境軸の発表

日 時:2013年10月6日(日)
会 場:愛知芸術文化センター 12F アートスペース G(名古屋市)
指導員:石田壽一(東北大学大学院工学研究科都市・建築学専攻教授/ SSD 運営委員、環境軸担当)
    皆川典久(東京スリバチ学会会長/鹿島建設株式会社東北支店/ SSD 講師、環境軸担当)
    井上宗則(東北大学大学院工学研究科 都市・建築学専攻助手)

社会軸「復興のアーカイブ」

東日本大震災の復興へのプロセスは未だ道半ばである。伊勢湾台風からの復興は、低頻度激甚災害に対する先達の成 熟した取組みが結実したものである。専門家のレクチャー、フィールドワークを通じて過去の取組みについて理解を 深め、現在の復興へのプロセスと照らし合わせながら、将来への知見としてアーカイブする。

8:55:近鉄名古屋駅集合、輪中の郷へ移動

9:30~13:00:輪中の郷でフィールドワーク

13:30~14:30:フィールドワークのまとめ

14:30~16:00:合同発表会

発表内容要約
木曽三川に囲まれる長島は水と上手につきあう生活をしてきた。輪中=水際空間であり危険な場所という認識が多いが、実際は、水田を肥沃にするために水浸しにしており、肥沃な冠水地に確保された生産空間である。
ハード面から見ると、基礎は排水性に優れた丸石を積んだものであったり、母屋と水屋と建物を分けることで被害を減らす、畝が深い畑など、浸水しても被害を最小限に留める工夫があふれている。車が使えない場合の交通網は舟を利用するように計画されているので、水害に強い家として、そのまま舟になる家を提案する。
対してソフト面としては、堤防を守るためのコミュニティが形成され、水を受け入れたライフスタイルを家、集落全体、長島全体という3つの単位で考えてられている。小さい輪中が集まって長島になっているので、自然発生的にコミュニティが出来上がっており、家どうしは水路で、また川が長島と外をつないでいる。長島の中の4つの水系を使った農地の共同管理システムを開発/集落対抗ボートレース/水防団野球チームによる土嚢づくりスピードコンテストなどを提案する。また、中州のコミュニティが存続しているのは、中州の土地は分割相続ができないようになっていることに起因する。
あいちトリエンナーレ
輪中の郷館長より説明を受けながら輪中を歩く
あいちトリエンナーレ
歴史民俗資料館にある長島の航空写真
あいちトリエンナーレ
フィールドワークで得た知見をまとめる
あいちトリエンナーレ
社会軸の発表

日 時:2013年10月6日(日)
会 場:愛知芸術文化センター 12F アートスペース G(名古屋市)
指導員:小野田泰明(東北大学大学院工学研究科都市・建築学専攻専攻長、教授/ SSD 運営委員、社会軸担当)
    秀島栄三 (名古屋工業大学大学院工学研究科教授)
    諸戸靖  (輪中の郷館長)

メディア軸「スローウォークで街を観察する」

メディア軸では、SSD の2012 年度春学期の成果物である文化批評誌『S‑meme』の制作過程で受講生が提案した、超低速歩行によって今まで見えなかった街の風景を再発見す る「スローウォーク」のレクチャーとその実践を行なう。またあいちトリエンナーレの作品鑑賞を通じても、街の風景の再発見について考える 。

9:20:円頓寺商店街入口集合

9:30:スローウォーク開始 500m を1 時間40 分かけて歩いた。

11:00:藤田まやさんに解説を受けながら、円頓寺商店街を観察。

12:30:あいちトリエンナーレ作品鑑賞

長者町に移動し、あいちトリエンナーレ作品鑑賞。五十嵐から「街の中にアート作品を置くと、街の見え方が変わるというのが、意図である。普段気がつかないことに気がつく、というのはあいちトリエンナーレ2013 のテーマであるAwakening に通じるものがあり、スローウォークと共通したテーマ

受講生コメント
・自分の視点をどこに持っていくか、悩みどころだった。商店街なので、床の素材の変化に注目していた。
・飲み物は相棒と呼ぶのだが、聴覚/嗅覚が研ぎ澄まされるということで、目を閉じてみたが、眠くなった。商店街で流れていたアップテンポな音楽とスローウォークが反比例していて面白かった。
・トリエンナーレ出展作家シュカルトの作品「モバイルプラント」を連れて散歩すると、道路の僅かな段差に気がついた。
・体内のリズムとスローウォークのリズムがあまりに違ったので、その点をよく考えた。電信柱間を一小節と考えてメモをした。
・後ろ向きで歩いた。
・横に動いてみたけれど、なんだか間がもたなかった。15 人が同じ方向を向いているので、目が合ったりした。
あいちトリエンナーレ
円頓寺商店街でスローウォークを実践
あいちトリエンナーレ
長者町で「モバイルプラント」を連れて散歩
あいちトリエンナーレ
スローウォークの感想をまとめる
あいちトリエンナーレ
メディア軸の発表

日 時:2013年10月6日(日)
会 場:円頓寺商店街、長者町エリア、愛知芸術文化センター12F アートスペースG(名古屋市)
指導員:五十嵐太郎(東北大学大学院工学研究科都市・建築学専攻教授/ SSD 運営委員、メディア軸担当督)
    篠原章太朗(SSD2012 年度秋学期メディア軸修了生)

クロージングトークイベント「デザインとローカリティ」

グローバルな都市間競争のなかで多くの都市が「デザイン」に注目し、それぞれの地域から発信するデザインのユニークさと競争力を獲得するため様々な試みを行っている。 クロージングトークイベントでは、稀温と本江正茂の二人が、名古屋と仙台、それぞれが拠点とする都市において、クリエイターが活躍できる場所づくりとプロジェクトづくりの両面から、「デザイン」に働きかけていく日々の

19:00~20:30:クロージングトーク

あいちトリエンナーレ 本江が仙台市若林区卸町にあるクリエイターのためのシェアオフィス「TRUNK」の例をあげて、仙台でのクリエイターの活動を紹介。名古屋ではさくらアパートメントが同じような機能をしていた。

TRUNK では適度な交流が発生しているが、もう一歩進めるには、「機会をプロデュースする必要があるのでは」という本江に対して、クリエイターズマーケットを興した時に、わざとレベル差のあるブースを隣合わせにして、クリエイターグローバルな都市間競争のなかで多くの都市が「デザイン」に注目し、それぞれの地域から発信するデザインのユニークさと競争力を獲得するため様々な試みを行っている。 クロージングトークイベントでは、稀温と本江正茂の二人が、名古屋と仙台、それぞれが拠点とする都市において、クリエイターが活躍できる場所づくりとプロジェクトづくりの両面から、「デザイン」に働きかけていく日々の実践のなかで感じていることを共有しながら、都市に力強いクリエイティビティを誘発する方策について探った。どうしの切磋琢磨を促したという話がヒントになるのではと稀温が返答。

また、TRUNK を起点に「とうほくあきんどでざいん塾」という、東北の中小企業『あきんど』とクリエイター『デザイン』をつなぐクリエイティブサポート事業を本江から紹介。「活動目的としては、デザイナーと働くことの敷居の高さを下げることであり、SSD に来ないような人たちは、やったことがないことに挑戦するのをためらっている傾向が見えるので、これではもったいないので、背中を押してあげたいと思うのだが」という本江に、稀温から「新しいことを提案するだけがデザイナーの仕事ではない。新しい分野に挑戦して成功している人を紹介するなどはどうか。」と提案。

あいちトリエンナーレ 「仙台は城下町なので、工芸はあるけれど、そこまで有名ではない。仙台の人はあまりアピールをしない気質だが、取材をして、話をしてもらい、プロダクトにストーリーを付随させる。というのが有効だと思う。」(本江)

「名古屋は強いスケート選手を生みだしていたり、三英傑が出た地だが、名古屋には特徴がないと住んでいる人が思っている。テレビ塔もそもそも観光名所なのかという話もあるくらいなのだが、それも説明次第。仙台の中にも、説明次第ですごいものになるものがあるはず。私は、ものにストーリーをつけて納品するのでクライアントが頼みやすく、仕事を続けて来られたのでは。と思う。」(稀温)

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