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2013年度秋学期PBLスタジオ4:コミュニケーション軸

Cityformat - 都市生活のインターフェースを考え直す2 –

担当教員
本江正茂(東北大学大学院工学研究科都市・建築学専攻准教授)
講師
logue[菊地正宏+小川直人+酒井聡+柿崎慎也+鹿野護]
ゲスト講師
高橋徹 (情報デザイナー・プロデューサー/株式会社ATR Creative)
櫻田潤 (インフォメーション・デザイナー/VISUALTHINKING運営者)
担当助手
山田哲也(せんだいスクール・オブ・デザイン研究員)

【概要】

日常、私たちは一定の書式/フォーマットを介して、多くの仕事やサービス、情報をやりとりしている。都市が多種多様なシステムからなるものであり、それらシステム同士が接する境界面をインターフェースと呼ぶならば、都市生活はインターフェースの織物にほかならない。それら都市を形成する書式= Cityformat を情報/ヴィジュアルから考えなおす。

2013年度秋学期は、1】ベタ・ワークとして、宮城野区文化センターへ/から/の中の地図を制作。2】メタ・ワークとして、地図を制作する上で欠かせない情報、情報過多に陥った場合の情報の削り方など伝わる・使い易い・美しい地図が誰にでも制作できるデザインガイドを制作した。

【成果物】

今学期のテーマである「CityFormat」とは、都市空間・都市生活の中にある様々な約束事や、意識されずに使われている様式のことである。例えば、どのような地図を作るとどのように理解されるのか、町中の道路標識や案内表示、あるいは記入用紙の作られ方など、「何がどうなっているとどう伝わるか」という情報伝達のフォーマットとも言える。
コミュニケーション軸では、そのフォーマットを読み解き、デザインに活用して行く事を目的としている。それは「かっこいい」「わかりやすい」「美しい」と感じるものを、単に「感じる」だけではなく「なぜそうなのか」を解き明かし、製作の手法として活かすこと。つまり「センスの問題」とされているものを「技術の問題」にして、理解・共有・継承できるようにすることである。
都市の中にフォーマットは無数に存在しているが、その手始めに、「地図」を題材として取り上げた。
仙台市・原ノ町にある宮城野区文化センターは、宮城野区文化センター、宮城野中央市民センター、宮城野区情報センター、宮城野図書館、原ノ町児童館の5つから成る複合施設だ。複合施設であるがゆえ様々な問題があり、コミュニケーション軸では前学期から題材として扱ってきた。
今学期は、宮城野区文化センターの協力の下、同施設の「地図」を、「文化センター『へ』の地図」「文化センター『の中』の地図」「文化センター『から』の地図」という側面からチームを3つに分けて製作し、その後、フォーマットを導き出しデザインに活かす方法を検討した。

【文化センター『へ』の地図 岩松・笹原・高田・伊東】

「文化センター『へ』の地図」の制作において従来の案内地図と検討・比較されたものは、Googleマップやスマートフォンの地図アプリである。優秀なナビゲーション機能すら備えたものも存在する中で、改めて地図を制作す意味はどこにあるのか考察した。
地図アプリは非常に便利だが、利用者全てが地図アプリを使いこなせるわけではない。地図を必要とする人が地図アプリを扱えない事も考えられ、そのような人にも配慮をする必要がある。
ナビゲーション機能においては、目的地への案内もなされるものの、周辺の地理や交通事情に応じた推奨ルートの提案や、施設の入口や駐車場への誘導、歩行者向けの情報表示については、専用の案内地図の方がより優れている事が分かった。
以上に加え、他の公共施設の地図も参考にしながら制作を行った。その際、利用者の交通手段とそれに合う地図の種類・スケールを検討し、広域・詳細の2つのマップを中心に路線図や連絡先を記載した総合案内地図としてまとめた。

PBL4

広域マップでは自動車やバイクの利用者を想定し迷いにくいルートの表示を工夫した。推奨する道を目立たせ、その他の道は表示させなかったり、薄く表示した。

PBL4

詳細マップでは自転車や歩行者、バスや電車から降りた人を対象に、車道の他に歩道や民家などを描き込み、目の前の光景と照らし合わせながら現在地を掴みやすく工夫している。

PBL4

【文化センター『の中』の地図 伊藤・飯田・岩井・池内】

「文化センター『の中』の地図」では、複合施設であるがゆえの複雑感が焦点となった。利用目的も用意されている部屋も様々なため、目的の場所を来館者が把握しやすくなる工夫を検討した。
提案したものは「見て5秒で大まかな目的地がわかる」地図、「VISIMAP (Visit+Visible+Mapの造語)」。よくある館内マップは部屋の名前から場所を探すが、「◯◯の活動をする部屋はどこにあるか」という利用目的から探す方式をとり、「もくてきマップ」と命名した。 この館内図では、正確に部屋の場所を特定することよりも、大まかにでも施設の概要を把握させることに特化させた。また利用目的を表示することで他の使い方を利用者に提示する役割も担わせている。図面の配置に際しては利用者の視線移動の理解や身体感覚との関連性を盛り込み、また色覚異常の方に配慮した色設計など、公共施設の館内図に求められる要素も検討した。

PBL4

【文化センター『から』の地図 太田・川村・久和原・パナヨトプロス】

どこかへ行くときに使う通常の地図に対し、「文化センター『から』の地図」ではそもそもの目的地の設定から考えなおし、結果として「文化センターは公共の施設としてどのような情報を持つことが大切か」という点を見直すことになった。
利用者の調査や、地域の人、文化センタースタッフへのヒアリングを通じ、「イベント以外の利用者/案外長い時間センターにいる人も多い」「地域との関連性を深めたいニーズがある」「住んでいるからこそ気付いていない地域の魅力を再発見したい」などの要素が導き出され、文化センターから発信する媒体となる地図を検討した。
「道草案内」は街へ出るキッカケを作るツールとして考案し、文化センターから一周りする所要時間でコースを分け、それぞれ15分、30分、60分用のミニブックとなっている。いわゆる観光情報には載らないようなスポットもエピソードとともに取り上げ、原ノ町という場所を再発見できるような「地図」とした。

PBL4

時間を区切ることで逆に時間の使い方には個性が現れるため、例えばスタッフや施設の利用者が「わたしの60分」などを考えミニブックにまとめるなど、ワークショップへの展開も考えられる。

PBL4

・所要時間で分けられたミニブック「道草案内」
・地名の由来のものやある業界では有名な店など、いわゆる観光情報ではないものもエピソードを交えながら紹介している
・ミニブックを展開して裏返すと地図が現れる

「2013年度秋学期PBLスタジオ4:コミュニケーション軸」活動内容一覧

-2014.06.13-
-2014.02.04-
-2014.01.20-
-2013.12.17-
-2013.12.10-
-2013.11.26-
-2013.11.19-
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