ポスト・シンパシー・プレイス
- 講師
- 小野田泰明(東北大学 大学院工学研究科都市・建築学専攻専攻長/教授)
- 堀越謙三 (東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻教授/映像研究科長)
- 岩崎ゆう子(コミュニティシネマセンター事務局長)
- 末松寛アドリヤン(東京藝術大学)
- 担当助手
- 岩澤拓海(せんだいスクール・オブ・デザイン研究員)
【概要】
2011 年3 月11 日に一変した我々の生活も、徐々に再構築されつつある。そろそろシンパシーを超えて、個が凛として立つ次のフェーズに移行すべきなのではないだろうか。本スタジオは、そうした場を社会的に構築する技術を体得するもので、津波被害のため集団移転を余儀なくされた岩沼市被災六地区をフィールドとしている。古くからのコミュニティが維持されるとともに、固有の農村景観を残していたこの地域の住民が、区画整理された新しい土地に移るにあたり、何が求められるのか?住民の記憶・文化に対する詳細な調査の結果から、過去の豊かな時空間と未来に広がる抽象的な時空間を架橋する何かが求められていることを確認し、これをつなぐ「時空間」を、建築と同じく時空間を扱う「映画」を活用して実現しようと試みた。映画関係者や行政の協力を取り付けながら困難を乗り越えて映画会を実際に展開することで、復興における、記憶・文化の継承、未来への展開という課題に、綿密な調査と準備を経た時空間の提供が大きな可能性を持つことを実証した。
【成果物】
日時:2012年8/17[金]8/18[土]【会場:里の杜中央公園】
- 8/17 17:30開館
- 18:15頃~:クレヨンしんちゃん「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」
19:45頃~:1000年の山古志
- 8/18 17:30開館
- 18:15頃~:浮き雲
20:00頃~:チャップリンの冒険/チャップリンの勇敢⦅活弁⦆)
「玉浦八月映画館」とは
- -岩沼市玉浦地区-
- 東日本大震災の津波による、大きな被害を受けた岩沼市玉浦地区。海岸沿いの豊かな6つの集落が一つの区画整理された土地に移転しようとしている。様々な計画者たちが、移転先の構想を練る中、住民へのヒアリングも多く行われてきた。それらの言葉は復興計画の材料として捉えられて分類・整理されていき集落の記憶、人生の物語は見えてこない。
- -空気をそのままつかみにいく-
- 復興計画からとりこぼされる集落の記憶や風景を聴き取りを通じてすくい上げる。住民一人ひとりのエピソードを丁寧に一つひとつ記録することで集落の記憶、その土地の風景へと結びつけていった。人々の記憶は人生と場所が交わる点に空気感として立ち現れる。
- -なぜ映画か-
- 突然失われた時空と、漠然とした将来。それらを結びつけるような像を持った希望としての映画。待ち受ける未来を待つ現在ではなく、今を生きることで、断絶された両者を結びつける。
- -仮想の映画館-
- 昔、岩沼には3つの映画館があり、そこは人々の交流・出会いの場であった。岩沼に現れる仮想の映画館を構想した。「映画館」という空間は、被災された方々の日常の楽しみや語らいの場を提供し、集落の記憶として、一人ひとりの心の中に積み重なってきた物語と、新しいコミュニティーの記憶とをつなげる場になる。
- -上映会開催へ-
- 大人や子どもそれぞれに/ 一緒にたのしんでもらうにはどうすればいいのか、過去と未来の間にある場所はどこなのか、上映会に訪れる人たちにとって特別な場所はどこなのか。
- そのためにはどんな映画がふさわしいのか。上映会を玉浦のひとたちに渡すために、誰に、どんな場所で、どんな映画をみせるのかについて検討を深めていった。調査から浮かび上がってきた集落の空気感を頼りに、映画を選んだ。1 ヶ月間の仮想の映画館のスケジュールを立てて、選んだ映画をカテゴリーに分けし、様々な特集上映を考えていった。今回はその中から4 作品を選び、2 日間、実際に上映を行った。
- 仮想の映画館というコンセプトで実施された映画上映会「玉浦八月映画館」では、そのコンセプトを実感してもらうために、映画館で配られるパンフレットを実際に作った。「八月映画館」という名称には、もし玉浦の人の手で上映会が開催されることがあれば、その時は「四月映画館」や「十二月映画館」として実施されればという思いが込められている。
- -新たな方法-
- 場の創造と丁寧な聴き取り調査をもとにした映画の上映という、新たな地域支援のプロトタイプが提示された。企画を記録し、一つのまとまった方法として整理することで、今後、継続的もしくは新たな場所で活用されることも企図している。
- 2014年度 春学期 PBLスタジオ1 メディア軸
- 2014年度 春学期 PBLスタジオ2 環境軸
- 2014年度 春学期 PBLスタジオ3 社会軸
- 2014年度 春学期 PBLスタジオ4 コミュニケーション軸
- 2014年度 春学期 PBLスタジオ5 国際軸
- 2014年度 春学期 Interactiveレクチャー
- 2014年度 春学期 クリエイター・イン・レジデンス
- 2014年度 春学期 Fラボ3
- カレンダー
- 新・港村
- あいちトリエンナーレ分校
- SSDe in 金沢 五日間集中ワークショップ「建築に触らない!?公共建築のリデザイン」
- 2010年度秋学期PBLスタジオ1:メディア軸
- 2010年度秋学期PBLスタジオ2:環境軸
- 2010年度秋学期PBLスタジオ3:社会軸
- 2010年度秋学期PBLスタジオ4:コミュニケーション軸
- 2010年度秋学期PBLスタジオ5:国際軸
- 2010年度秋学期Fラボ1:石上スタジオ
- 2010年度秋学期Fラボ2:平田スタジオ
- 2010年度秋学期Interactiveレクチャー
- 2011年度春学期ARP1:災害のデータスケープ
- 2011年度春学期ARP2:S-meme02「文化被災」
- 2011年度春学期ARP3:建築家による復興支援活動の研究
- 2011年度春学期:特別講座「復興へのリデザイン」
- 2011年度秋学期PBLスタジオ1:メディア軸
- 2011年度秋学期PBLスタジオ2:環境軸
- 2011年度秋学期PBLスタジオ4:コミュニケーション軸
- 2011年度秋学期PBLスタジオ5:国際軸
- 2011年度秋学期Fラボ1:石上スタジオ
- 2011年度秋学期Fラボ2:平田スタジオ
- 2011年度秋学期Interactiveレクチャー
- 2011年度秋学期ARP4:仙台市津波浸水域リデザインのための基礎調査
- 2012年度春学期PBLスタジオ1:メディア軸
- 2012年度春学期PBLスタジオ2:環境軸
- 2012年度春学期PBLスタジオ3:社会軸
- 2012年度春学期PBLスタジオ4:コミュニケーション軸
- 2012年度春学期Fラボ3
- 2012年度春学期Interactiveレクチャー
- 2012年度春学期クリエーター・イン・レジデンスWS
- 2012年度秋学期PBLスタジオ1:メディア軸
- 2012年度秋学期PBLスタジオ2:環境軸
- 2012年度秋学期PBLスタジオ3:社会軸
- 2012年度秋学期PBLスタジオ4:コミュニケーション軸
- 2012年度秋学期PBLスタジオ5:国際軸
- 2012年度秋学期Interactiveレクチャー
- 2012年度秋学期Fラボ4
- 2012年度秋学期ARP5:災害のデータスケープ2
- 2012年度秋学期ARP6:復興地域におけるスマートコニュニティ
- 2013年度春学期PBLスタジオ1:メディア軸
- 2013年度春学期PBLスタジオ2:環境軸
- 2013年度春学期PBLスタジオ3:社会軸
- 2013年度春学期PBLスタジオ4:コミュニケーション軸
- 2013年度春学期ARP7:災害のデータスケープ3
- 2013年度春学期ARP8:統合化インターフェースとしての公共スペースのデザインについて
- 2013年度春学期Interactiveレクチャー
- 2013年度春学期CiR:「瞬間をとじ込める椅子」
- 2013年度秋学期PBLスタジオ1:メディア軸
- 2013年度秋学期PBLスタジオ2:環境軸
- 2013年度秋学期PBLスタジオ3:社会軸
- 2013年度秋学期PBLスタジオ4:コミュニケーション軸
- 2013年度秋学期PBLスタジオ5:国際軸
- 2013年度秋学期Fラボ5:「メディア・インスタレーションの未来」
- 2013年度秋学期Interactiveレクチャー
- 2014年度春学期PBLスタジオ1:メディア軸
- 2014年度春学期PBLスタジオ2:環境軸
- 2014年度春学期PBLスタジオ3:社会軸
- 2014年度春学期PBLスタジオ4:コミュニケーション軸
- 2014年度秋学期Fラボ3:エネルギースマートなイノベーション都市“仙台の明日”を考える
- 2014年度春学期CiR:文学館を再編集する
- 2014年度春学期Interactiveレクチャー