2012.01.15
2012年1月15日(日)Fiture Lab 01 石上スタジオの第二回エスキスを行いました。
はじめに、受講生から今回までに考えてきた事を発表します。前回のエスキスで指摘された「何に対して壊れないかの設定をはっきりさせること、その中で突き詰めて考えること」を踏まえてスラブを細い園芸用ワイヤで支えた模型を作製してきました。これは「1㎝角の棒材で荷重を支える建物に、ある程度の荷重をのせた時に壊れない」ということを考えるのはどうかという案です。「こわれない」「はっきりとわかる条件設定をする」を踏まえた上で、この課題で求められている事には驚きのようなものが含まれているのではないかと解釈し(例えばとても太いコンクリートの柱が荷重を支えるのは当たり前に見える、そんなことを考える課題なはずはない、と)、「こんなにか細いものがこの重さを支える事が出来るなんて!」という驚きがあるものを持ってきました。
これに対し石上先生からは、これは「出来そうにない事を実現する」という意図の課題ではなく、わざわざ話を複雑にする必要はないという指摘がでました。
普通、実際に建築を作ろうとする時には設定された基準を参考にすること、確認されている事実に照らし合わせることで、それが実際に建てる事が出来ることができるだろう、求められる性能を満たせるはずだと確認して作っていきます。今回の課題で取り組んでほしいのは、そういった基準が無い状態でものを作っていくことで、今までの常識となっている考え方や、そこから出てくる形とは別のものを考え出す事にあると言います。
例として宇宙ステーションの例が出されました。宇宙開発の拠点とするために宇宙ステーションを作るぞと考えた時、そこで目的とされ、また必要とされる事はそこで人間が生存でき且つ作業できる事であり、驚きがあることは目的ではないし必要ではありません(結果的に実現される、宇宙で生存できる事自体は驚くべきことですが)。また、宇宙そのもので実験する事はできないので、宇宙空間として想定される条件を再現できると思われる代替実験方法(例えば水中で実験する、砂漠で実験するなど)を考えだして、その環境で求める性能が発揮されるかを実験・確認することになります。そのように、基準を自分で発見していくような実験を伴って制作してほしい、ということでした。
今回受講生から提示された模型とその話の射程にはこれが含まれていないと考えられました。そこで、上記の説明を踏まえて、30分で一人10案の条件設定を出してみようということになりました。
30分経ったところで、一人一案ずつ順番に発表×10セットで案の発表が行われました。
例えば、雪かきしなくても(雪の重さに対して)壊れない、火事でも壊れない、水の中に住む(防水できる、水圧に耐えて壊れない)、土砂崩れや雪崩に対して壊れないなどの案が出されました。
また、これが10セット行われ40案が出たところで、自分が書いたもの以外で良いと思うもの、悪いと思うものを選びその理由を発表します。
選んだ案の何が良いのか、悪いのかを言語化する事ではっきりしたそれぞれの案の特徴を考慮した上で、面白いと思える、自分がテーマにしたい案を選びます。石上先生からは、それに対してこの後どのようにアプローチしていくかのイメージを確認されました。
選んだ条件に対して、それを実現する気で取り組んだ時にどのような要因が考慮する変数として上がってくるのか、その特徴や今までになされている取り組みや研究を把握しておく事(これは、既存の常識に頼らないという態度を取るとしてもやはり必要で重要だとの指摘がありました)、またその上で自分が対峙すると決めた条件をどのように代替して実験するかにユニークさを持たせながら進めなさいと指導されました。
スタジオ課題エスキス(11:30〜14:30)
2)次回講義について
日時:1月29日(日)時間未定
場所:東北大学都市・建築学専攻仮設校舎 Katahira10
内容:第三回スタジオ課題エスキス
講師:石上純也