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[Interactiveレクチャー #1]SSDハウスレクチャー平野暁臣

2011.12.15

2011年12月8日(木)、仙台市卸町にてInteractiveレクチャーの1回目、SSDハウスレクチャーが開催され、「能書きよりシズルー経験と触発のデザインー」と題して平野暁臣氏(株式会社現代芸術研究所 代表取締役/岡本太郎記念館館長)にお話を頂きました。



「地域にクリエイティブの種を蒔いて育てていくというコンセプトのもとSSDやハウスレクチャーなどが行われている。」と本江校長よりSSDやSSDハウスレクチャー会場としてご協力頂いている阿部アトリエについて紹介があり、五十嵐先生より「デザインをどう伝えるか」という2011年秋学期のインタラクティブレクチャーのテーマ紹介と平野氏のご紹介がありました。

横浜国立大学建築学科出身の平野氏は、岡本太郎生誕100年を記念した「TARO100祭」を手がけたり、制作後30年以上にわたり所在不明となっていた岡本太郎作の巨大壁画「明日の神話」をメキシコから渋谷に持ち帰ったり、六本木ヒルズアリーナのイベントプログラムを仕掛けたり、デザイン展の企画など幅広く「空間メディアプロデューサー」として活躍されています。

空間メディアというのはご自身による造語であり、空間を通してメッセージを送る、新しい活動を誘発し、メディアとしての空間を作るのが仕事とし、形式(ミュージアム、ショールームなど)ではなく目的でフィールドを定めているとのことです。

平野氏が、仕事を始めた頃に「ステーキを売るな、シズル(ジューっという臭いと音)を売れ」という言葉を言われたそうです。

それ以来、理屈ではなく、直感でわかることを目指している平野氏の仕事上のベースとなる概念は「能書きよりシズル」です。

出来事で何かを表現したり伝えたり、「空間で語る」というのが平野氏の仕事ですが、メディアとしての空間の特徴は以下のように考察されます。

1 体験を通して実感を伝える=「わかる」メディア
2 対話を通して関係をつくる=「顔の見える」メディア
3 触発を通して発見を促す=「背中を押す」メディア

まず、ミッション(目標)があり、それをもとにコンセプト(理念)を立ち上げ、コンテクスト(文脈)を作り、空間体験に展開していくことが「空間で語る」ということであり、「あ、わかった!」と感じる瞬間に体験する実感(「腑に落ちる」状態)を生み出すのがゴールである、とのことでした。

過去の仕事を以下のカテゴリーに分けて、ご紹介頂きました。実に多くの、また幅広く活躍されています。

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体験のデザイン(例:川崎市岡本太郎美術館/セビリア万国博覧会日本館/テジョン国際博覧会日本館/リスボン国際博覧会日本館)

宴(例:ダボス会議におけるジャパンナイト(レセプション)

展覧会(例:世界・炎の博覧会(佐賀)/世界祝祭博覧会 −まつり博 三重’94−(三重)/ジャナドリヤ祭日本館「Japan Lifestyle Showcase」)

葬式(例:岡本太郎の葬儀・岡本敏子の葬儀)

広場(例:六本木ヒルズアリーナーガムラン、ハイチの祭り、シカゴブルース、グルジア男声合唱団など普段は見られないものを選び、クリエイティブで面白いというイメージ付けに貢献)

ムーブメント(例:明日の神話ーメキシコで発見された岡本太郎作の壁画の修復再生工事を行い、渋谷に設置/太郎生誕100年ー国立近代美術館で展覧会や、イベント、表参道での映像展)

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多くの仕事の中から、特に<海外で日本を伝える展覧会>としてバンコクで行われた「日本デザインの遺伝子展」と香港で行われた「感性価値デザイン展」について、ご紹介頂きました。

「日本デザインの遺伝子展」では日本の産業デザインの背景にある構造を見せて欲しいという依頼をミッションとし、例えば「携帯できる」というコンセプトは、矢立て(産業デザイン以前)、ウォークマン(産業デザイン黎明期 60年代から80年代)、たまごっち(21世紀)に通じることに着目。これら三つを並べて展示をすると共通の遺伝子を持っていることが一目瞭然であり、本展がデザインの背景に着目していることが観客に伝わる展覧会になったそうです。

「感性価値デザイン展」については、高機能、低価格、信頼性に、感性を加えて日本のものづくりの柱としたいという感性価値創造イニシアチブを伝えることをミッションとして、愛着がもて、性能ではなく共感をできるような新しいプロダクトがどのような世界を作り出すかを伝えるために、ワイヤーでできた人型で表現されたとのことです。

最近、ITの発展などによって情報観が変質してきているが、今までは情報格差の少ないマスメディアの時代であり、情報は受けるか受けないかを選ぶ、一方通行で運ばれるソリッドなもの。今の時代の情報は、いつでも必要なときにキャプチャーし、リキッドのように形が変わり、コネクト、シェアしてされていくものであると認識されつつあるとの見解についてお話しして頂きました。

後半はSSD受講生、東北大学学部生より、平野氏の空間を通したメッセージについて、そのストラテジーや背景について質問がありました。

平野氏の仕事は、「空間で語る」ことですが、コミュニケーションの濃度と伝える人数が相反関係にあり、ライブコミュニケーションのジレンマがあるそうです。唯一、数に訴えるメディアが展示で、その代わり、ライブ性が低くなります。しかし、その場でしか手に入れられない情報を体験させることができるのも、空間メディアです。それぞれのメディアの特徴を知り、それを使いこなしていくためにも、多領域とのコラボレーションが必要とされるのではないでしょうか。

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