2011.11.02
10月30日(日)、 SSDe新・港村 環境軸WS「グリーンインフラ・アーバニズム」を実施しました。
「スマートインフラ・アーバニズム」というテーマについて。
エコロジカルなアーバニズムを実現するためには、様々な領域とのコラボレーションが必要。産業革命以降、20世紀にグレイインフラに移行したが、大洪水など様々な問題が出てきている。以前のグリーンインフラに戻すだけではなく、スマートテクノロジーが加わることで、より効率的な環境を実現できる。今日は横浜中華街元町周辺でフィールドワークを行い、グリーンインフラとして活用できそうな可能性を探していく。との説明がありました。
まず、平慎次氏(アクセンチュア株式会社経営コンサルティング本部)より「スマートシティ」について、世界の事例を交えつつ、レクチャーして頂きました。
続いて、中野和典氏(東北大学教授)に、屋上緑化、バイオリテンション(雨水管理)に代表される「グリーンインフラ」という概念は、人間社会と生態系が共生していくために有効であり、洪水、水質汚濁などの問題を解決するレインガーデンは一つ一つは小さくてもたくさんあれば効果的である、と説明して頂きました。
その後、フィールドワークに参加して頂くことになった皆川典久氏(東京スリバチ学会会長)から、中華街元町エリアの古地図や3Dで表現した地図を見ながら、もともと三角州であった横浜の背景、台地と低地の狭間を歩くフィールドワークとしたいとコメントを頂きました。
そして、フィールドワークに出発です。目的は、中華街元町周辺エリアの水系調査、レインガーデンの敷地ハンティング。
フィールドワークから戻った後は、新・港村で作業。
フィールドワークで撮影した写真とビデオを確認しつつ、グリーンインフラが成立しそうな場所を、地図上に書き込んでいきます。
最後に、皆でレビューをしました。
受講生から、
・レインガーデンを作る場所を探していたが、歩きながら気がついた段差のリズムがおもしろかった。
・山が近くにあることで、各家庭の庭と山がつながっている感じがするのが、庭の手入れが行き届いている理由かなと思った。
・今まで気がつかなかった湧き水を発見できた。
・ビルのスカイラインも段差として使えないだろうか。
・傾斜のある場所に家が多くあるので、変形した敷地の隙間に落差のある空き地があり、それらがレインガーデンとして使えそうだと思った。
などのコメントがありました。
また、講師からは、
平:坂が多いというのは位置エネルギーが高いということなので、利用できる可能性が高い場所だと思った。
中野:すり鉢状の土地に墓地が作られていた(スリボチ)は、自然をうまく利用しながら、人の手が少し入っているが、手間が少ないほうが簡単に取り組める好例。また使われていなかったプールがすり鉢状地形にあったが、ビオトープとして使える可能性があると思った。
皆川:水が沸いている場所があるというのと水が高い場所にある(位置エネルギーが高い)ということが、都市の可能性を上げていると思う。
小川:斜面に住むということはネガティブに捉えられがちだが、段差のポテンシャルがあり、利点も多いということが分かる。
石田:元町公園あたりは、明治の初めにフランス人実業家ジェラールが、湧き水を簡易水道で引き、外国船に飲料水として売るという船舶給水業を営んだ場所というのが分かったが、そのように地形を把握して利用できると土地のポテンシャルが上がる。今日のように建築以外の専門の人と一緒に大きなインフラを考えていく必要があるのではないだろうか。
などのコメントがありました。
WSについて
日時:2011年10月30日(日)
場所:新・港村 スーパースクール校舎+芸術不動産ブース、横浜中華街元町エリア(横浜市)
講師:石田壽一(東北大学教授・SSD教員)、中野和典(東北大学教授)、平慎次(アクセンチュア株式会社経営コンサルティング本部)、小川泰輝(東北大学助手)
11:30~11:45 ガイダンス・講師紹介
11:45~12:30 平慎次レクチャー「スマートシティ」
12:30~13:10 中野和典レクチャー「グリーンインフラ」
13:10~13:30 フィールドワークの説明
14:00~17:30 フィールドワーク
中華街元町周辺エリアの水系調査、レインガーデンの敷地ハンティング。
17:30~19:00 新・港村で作業/レビュー