2011.11.04
10月31日(月)、11月1日(火)の二日間、 SSDe新・港村 メディア軸WS「小さなメディアの編集術:まとめて・意味を与えて・伝える」を実施しました。
SSD PBLスタジオ01 メディア軸 のスタジオ内容を縮小したワークショップとして、SSDe新・港村メディア軸ではコピージン(Copy Zine) を制作しました。
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10月31日(月)に先立ち、18日に既に第一回の顔合わせが済んでいます。個人の都合などもあり、31日、1日の作業に参加してくれるメンバーは、建築系学生、ギャラリーのインターン生、アート活動家といった属性の三名となりました。
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メディア軸では、この日までに集まった素材を編集してコピージンを作ります。この日までに集まった素材は以下の通り。
■SSDeワークショップの内容
・コミュニケーション軸「ちいさなモニュメント」
・社会軸「デザインをつかいきる:Y-GSAの過去の横浜提案から掘り出し物を探せ」
・環境軸「グリーンインフラ・アーバニズム」
■受講生による横トリレポート
・「空の芸術祭」里村真理
・「横浜美術館」杉本理恵
・「ドリフターズサマースクール2011」富永美保
・「新・港村」山田善紀
■受講生以外の横トリレポート
・「『M-meme』タイトルデザイン解題」鈴木功
・「SSDe新・港村『小さなモニュメント』ワークショップに参加して」鈴木功
・「新・港村ゾーンAの建築」星裕之(STUDIOPOH)
・「横浜トリエンナーレ2011について」五十嵐太郎
・「時間はめぐり、場所を巡る」伊藤正明
(敬称略)
以上が、絵はがき、プレゼンのスライド、リサーチ結果の写真の束、地図、といった形や、まとめられたレポートや原稿の形で残され、集められています。これをまとめて、意味を与えて、伝えるものにします。
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まずは上記の素材を眺め、それぞれに割り振るページを決めました。ホチキスでとめられる上限の紙の枚数から、全体を60ページの構成とし、既に内容・分量の決まっている原稿にページを割り当てた残りのページ数に、未だまとめられていないSSDeワークショップの内容を載せる事になりました。一軸10ページ、見開き5つの中にワークショップの内容をまとめます。
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実際の作業はひたすら切ったり貼ったりコピーしたりの繰り返しです。各々の素材をどのように割当てられた各ページ数に収めて、伝える紙面を作るかということを考え紙面を構成します。また、うまくA6の版型に納まり切らない原稿は、パソコン上でレイアウトし直してプリント、といった作業が出来ないため(SSDeブース内に置かれたコピー機は、プリンターは無くコピー機だったので)、一行一行を切って行間を詰めたり段落を詰めたりして版下(コピーする元の原稿)を作っていきます。相談を交えつつ全員が黙々と作業を進めてゆきました。
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31日は17時から、編集者の磯達雄先生による「コピージンはどうやって作るのか」についてのレクチャーも行われました。学生時代、SF研究会に所属していた時から自分たちで作っていた、またまわりの人々が作っていたコピージンなどを実際に持って来て、それらがどうやって作られたのかをレクチャーしていただきました。
磯先生がコピージンを作っていた80年代の学生時代、今のようにページメーカー、InDesignが無買った頃の工夫を色々教えていただきました。手書きで原稿を清書する分担をしたりレイアウトの中の罫線は製図用のロットリングで引いた思い出、コピージンにベタ塗りの黒面は禁物だったためスクリーントーンを使用した、またスクリーントーンを貼る事によって写真をよりきれいにコピーできるようになること、版下を作る際にはきれいにレイアウトできるように薄い青色(コピーしても印刷されない)で罫線が引かれた台紙を使った事、台紙に文字をレイアウトしていく時にはペイパーセメントという少し特殊な糊(紙が丸まらない、貼った後にも動かせる)を使った事、写植という技術がそう簡単に使えなかったのでタイトルなどに映えるきれいな字体は見本のの本からレタリングしてもってきたこと、ワープロを使用しても変換しない漢字も多い時代だったので無い文字は漢字字典から切り貼りして使用した事、など手を使った様々な地道な努力と技と工夫を駆使して「簡単な雑誌を作る」壮大な創意について話していただきました。
(ワープロを使わない事も普通であった頃の、全て手書きの文字が美しい東北大「ダイバージェンス」誌)
コピー機と紙とペンという限られた道具を駆使して作るものだからこそ、どう工夫するかの想像の余地が多分にある状態での雑誌づくりについての話は、SSDeのブースの中で限られた道具を使ってM-memeを編集するワークショップ参加者にとってとても良い刺激となりました。
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続く11月1日(火)は31日に引き続き編集作業です。切り・貼り・レイアウトの地道な作業のためちょっとした作業にも少しの変更にも時間がかかり、各ページまとめるのは中々難しいものの、何とか時間内にそれぞれの内容を決められたページに収める事ができ、あとはその版下をとにかくコピーして130部の「M-meme」を完成させることができました。ワークショップ参加者それぞれの個性が自然と反映された紙面構成が出来上がりました。
また、表紙には都市フォントプロジェクト(http://www.cityfont.com/)の鈴木功さん・両見英世さんからご提供いただいた「横浜の個性を取り入れた」フォントである「濱明朝体(仮)」を配したものを採用しています。
「雑誌を作る」スタジオである SSD PBL01 の一変奏として行われた今回のワークショップで、例えば参加者の中には「本を作るという事はどういう事か知りたい、これから本を作るにあたってためになるような知識が欲しい」という希望を持って参加された方もおられましたが、今回の地道な作業もS-memeを含め現在の一般的な、パソコンの画面上で作られていくような雑誌の作り方にも生かされるような想像力をもつきっかけと出来たのではないでしょうか。
それではまた仙台でお会いしましょう
WSについて
日時:2011年10月31日(月)11:30〜19:00
会場:新・港村CゾーンSSDeブース
内容:
・M-meme 編集作業
・磯達雄氏レクチャー
日時:2011年11月1日(火)11:30〜20:00
会場:新・港村CゾーンSSDeブース
内容:
・M-meme 編集作業