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特別WS #2「科学技術を理解する」

2011.06.24

渡辺保史先生をお招きする特別WS「科学技術を理解する」を東北大学工学部青葉山キャンパスセンタースクエア中央棟DOCKにて6月18日(土)に実施しました。


渡辺先生は北海道大学大学院地球環境科学研究院上級コーディネーターを勤めながらジャーナリスト/プランナーとしてご活躍されています。
函館がご出身で情報デザイン、科学技術コミュニケーション、ワークショップを専門の活動領域となさっています。
北海道大学の科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)や実践環境科学コース(PractiSE)も紹介して下さいました。

先生はWS前日に七ヶ浜と蒲生に行き、言葉で表現する事が難しいほどのショックを受けたそうです。また被災した3月11日は北海道におり、全国からツイッターが地震にあふれたことが印象的だったそうです。それ以来、「科学技術コミュニケーターとして自分のスタンスを計りかねていた」とのこと。

今回、渡辺先生には「科学技術を理解する」と題してお話し頂きました。

私たちには科学技術を専門家に無自覚に任せるだけでなく議論できる状況が必要です。
今回のワークショップのねらいを「科学技術とコミュニケーションとデザインの《あいだ》で考る」とし、科学技術とどう付き合うか、どう科学技術を理解するか、を議論したいとおっしゃっていました。

渡辺先生はまずNHK「事故の博物館」の映像を紹介し、「新しい技術の発明は新しい事故の発明」であり「事故がテクノロジーの進歩の影であるかのようだ」という、ポール・ヴィリリオの言葉を紹介して下さいました。まるで花粉のように全国の放射線量が新聞にのり、インターネットオークションでガイガーカウンターが高騰するなど、私たちは「3.11以降、現実化したSF的世界を生きていかざるをえなく」なりました。しかし、泊原発の記事を書く北海道大学の授業の中で体験した批判に触れ、いかなる言説も賛成か反対かの2言論に絡めとられていく原子力の問題のアポリアを指摘して下さいました。

トランスサイエンス(trans-science)とは、アメリカ・オークリッジ研究所のアルビン・ワインバーグが提唱した、科学に問うことはできるが科学だけでは答えることのできない問題、(民主的な)意思決定によって解決しなければならない問題領域を指す概念です。例えば原子力発電所の安全システムすべてが故障する確率が「極めて低い」という事については科学者は同意しますが「きわめて低い確率」を「事故は起こりえない」とすべきか、低確率でも起きれば甚大な被害が生じるものを「事故は起こりうる」と想定し対応策を講じるべきか、という問いは科学のみでは答えることはできません。現代の科学技術のほぼ全てが「トランスサイエンス」化しているとするならば、科学技術の問題に応えるためには専門家と非専門家の《あいだ》、すなわちネーサン・シェドロフのダイアグラムが示唆するようなインターフェイスがデザインされなければなりません。この科学技術コミュニケーターや情報デザインの役割は3.11以降さらに重要性を増している、と渡辺先生は指摘します。

重要なのはどこまでが「わからない」かを明確にし、同時に「わからない」ことの先に何がありうるのかを見据えることです。ではそのために我々はなにができるのでしょうか。
科学技術を「自分たち事」(=脱ユーザー)化すること、と渡辺先生は言います。例えば6月11日に3331アーツ千代田で開催された「ガイガーカウンターミーティング」やミシュランのパロディーとして戦場化した日常を描く「サラエボ旅行案内」のように。
まさに「未来を予測する最良の方法は未来を発明することである」(アラン・ケイ)のです。

レクチャの後はワールドカフェ方式でテーブルディスカッションを実施しました。

今回は(1)二人組でレクチャの感想を共有し、(2)ワールドカフェを3回行い、1回めは「私にとっての科学技術」、2回めは「不安を解消するためのアクション」、3回めは「科学技術の専門家と私たちの《あいだ》にあるべきコミュニケーション」についてそれぞれディスカッションしてもらい、(3)ひとりひとり付箋に「興味を持ったこと」「疑問に思ったこと」を書き出してもらいました。

ディスカッションのメモ
0618.pdf[pdf:1.9Mb]

ポストイット
0618_postit.pdf[pdf:516Kb]

今回は東北大学青葉山キャンパスのセンタースクエアにこの春新しくできた工学部中央棟の中にあるDOCKというカフェを会場としました。

原子力事故を語るいかなる言説も賛成か反対かの2言論に絡め取られていってしまうとするなら、テクノロジーとの付き合い方を考えるこのWSが、このアポリアに陥ることなく原子力の問題を考え始めるきっかけになったのではないでしょうか。(阿部)

ムービーはこちら
http://cat-vnet.tv/category120/123/123_001/123_002_0001.html

1)講義内容について
「科学技術を理解する」
日時:6月18日(土) 13時~
講師:渡辺保史[北海道大学大学院地球環境科学研究院上級コーディネーター ジャーナリスト/プランナー]
内容:レクチャ、テーブルディスカッション、発表
場所:東北大学青葉山キャンパスセンタースクエア中央等DOCK

2)次回講義について
「コミュニティを育成する」
日時:6月26日(日) 13時~
講師:山崎亮[studio-L代表、京都造形芸術大学教授、コミュニティデザイン]
場所:東北大学青葉山キャンパスセンタースクエア中央等DOCK

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