2011.02.22
PBLスタジオ4コミュニケーション軸の成果物の一部、Bグループのウェブサイト“都市交通における余白とは何か”を紹介します。
“都市交通における余白とは何か”[http://yohaku.org/]
私たちは、都市交通のなかに潜む「余白」に着目しました。
一般に余白とは「字や絵などが書いてある紙面で、何も記されないで白く残っている部分」を意味します。
我々はその概念を、平面から空間へ、そして非ユークリッド空間/非物理空間などの心理的な作用まで拡張し、余白を環境情報のひとつとして捉えました。
それは、都市交通のなかにさまざまなカタチで隠れています。
この取り組みは、そうした余白の価値の再発見を目指すものです。
例えば待ち時間。
都市交通を利用するとき、人は待ち時間のなるべくない利用を目指します。
不意に待ち時間が生まれると、ときにいら立ちや焦りを感じることがあります。
しかし捉え方を変えれば、慌ただしい日常のなかで、待ち時間はつかの間の休息をもたらします。時間という余白が、日常を豊かにします。
例えば誰もいない場所。
人は他人や構造物と距離を測りながら移動しています。
都市交通の空間にはシステムのポケットともいうべき利用されない場所があります。
扉と扉のあいだの何もない場所。柱と柱のすきま。壁のくぼみ。そして人と人のあいだ…。ふと目を向けると、日常で見えなかった風景が浮かびあがります。
例えばゆっくり移動すること。
移動が早ければ、それだけ他のことに時間を使えます。
だから、一般に人は速く移動することを好みます。
しかし、速く移動すれば、知覚される環境情報も多くなり、それを処理する速さも求められます。ゆっくり歩き、ゆとりが生まれることで、初めて気付くこと、見えるものがあります。
私たちはこうした都市交通の「余白」を拾い集め、WEB上にアーカイヴを作成しました。
「余白」とは暗闇のようなものです。
暗闇は本来鑑賞に適さない環境要因のはずですが、このなかで光をあてると、彫刻により神秘的な表情が浮かび上がります。
本来無駄なもの、邪魔なものと捉えられている都市交通の「余白」も、集めてみると、実は価値のあるものではないかと思えるようになるのです。
「余白」に気づくことで、環境情報をより豊かに受け取ることが出来るはずです。現在の都市交通システムがなにも変わらなくとも、人々が気づくことで変わるものがあります。
我々のとりくみは、こうした都市交通に潜む余白の価値の再発見を目指し、都市生活の中で色彩あふれる風景をつくりだすきっかけとなると考えています。
2010秋学期PBL4コミュ軸Bグループ[遠藤和紀/酒井聡/山日康平/吉成安彌]