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[Interactiveレクチャー #3]SSDハウスレクチャー浅子佳英

2012.07.24

2012年7月11日(水)、仙台市卸町にてInteractiveレクチャー、第3回目SSDハウスレクチャーが開催され、「最近のインテリアデザインについて」と題して浅子佳英(タカバンスタジオ/インテリアデザイン、建築設計、ブックデザイン)にお話を頂きました。



浅子氏は、インテリアや建築のデザインを行うだけではなく、『思想地図β』にも関わる論客として活躍されていたり、エディトリアルデザインを手がけられたりしています。
まさに「境界線上のインテリアデザイン」をテーマとしてジャンル横断的な試みについて考えてきた今期のInteractiveレクチャーの締めくくりにふさわしい活動をされています。今回は、ファッションブランド「コム・デ・ギャルソン(COMME des GARÇONS)」のインテリアデザインを中心に、現在のインテリアデザイン状況を論じて頂きました。

浅子氏の今までの活動は多岐に渡り、もともとは靴屋のインテリアデザインなどから始まり、展覧会の会場設計や、東浩紀氏と始めた思想誌『思想地図β』の編集とデザイン、最近は装丁の仕事も手がけていらっしゃいます。いくつかご自身のプロジェクトを紹介して頂いた後、コム・デ・ギャルソンのインテリアについてお話しして頂きました。

今までの2回のSSDハウスレクチャーを振り返ると、以下のようになります。
~70年 ビッグブラザーの時代
理想の時代。>インテリアデザインに置き換えると、革命の時代。
70~95年 ビッグブラザーの解体期
虚構の時代。>インテリアデザインに置き換えると、消費の時代。
95年~
リトルピープルの時代
今回は95年以降のお話となりました。

コム・デ・ギャルソンの人たちは95年以降の社会の変化にいち早く対応したような気がします。
会社員時代、地方のでパートに仕事に行ったとき、コム・デ・ギャルソンのインテリアデザインが周りと全然違っていたので驚きました。
PCとインターネットが手に入ったことにより、匿名の個人が、人と直接つながれるようになり、プラットフォーム(google, facebook, twitter)+コンテンツ(UGC, CGM, ブログ)が発達してきました。
川久保怜氏も、コンテンツとしての洋服とプラットフォームとしてのインテリアデザインを同時に考えることで、コム・デ・ギャルソンのインテリアの固有性が生まれてきたと思います。

もともと川久保怜氏は、「思想としての洋服を作る人々(村上春樹談)」や、「川久保はそこに現れて、私たちのゲームを乱した(カール・ラガーフェルド談)」と評されるように、他のファッションデザイナーと一線を画していました。
それはインテリアデザインにも現れていて、自らの表現をするために制約の多い百貨店の既存の天井を壊し、強いイメージの店を次々と発表していきました。
コム・デ・ギャルソンのインテリアをコンテンツ型、プラットフォーム型、マーケット型、グラミンフォン型と名付けて見てきましょう。

<コンテンツ型>
百貨店には独自のルール(内装規定)があり、高さ・素材が規制されていますが、エスカレーターの周りにある店は規制が厳しく、壁面の周りは規制がゆるくなります。
それは他のお店への視線や見通しを確保するためであったりしますが、建築法規ではなく独自のルールです。そういった規制を受けないために、百貨店の空間の中に、独自の空間世界を展開しているのがルイ・ヴィトンなどの有名ブランドです。しかも、百貨店はこういった有名ブランドに入ってもらいたいので、規制がゆるくなったりもします。
ルールがあってないようなものというのが、百貨店の空間設計で面白い点ではありますが、コム・デ・ギャルソンは、徹底的にルールに則し、柱周りにフィッティングルームとストックルームを置き、ひたすら低い什器を置いていました。百貨店にはそれぞれ独自のルールがあるので、規制を徹底させることで、逆に毎回違うデザインになるのです。ただ、2000年のそごう倒産、セゾングループ解体により、百貨店というプラットフォームが揺らいできました。

<プラットフォーム型>
百貨店じゃないところに、百貨店のルールに則したものを持っていって展開したのが、青山の路面店です。
コム・デ・ギャルソンの中にもいろいろなブランドがありますが、それらをコーナーで分けながらも、全体としてもまとまりを出すためにも、店舗群をルールでまとめあげる百貨店でのやり方が適していたのです。通常、ストックルームは奥に配置することが多いが、そうするとお客さんが歩ける範囲が狭くなってしまいます。ストックルームを、空間の中に置けば、空間の広がりを感じられることができるようになりました。
90年代後半はミニマリズムが流行っていましたが、青木淳氏のルイ・ヴィトン名古屋店(1999年)を皮切りに、建築家とのコラボレーションが増えていきました。
時代は不況となり、リアルクローズ、ストリートファッションの流行、デザイナーハウスの吸収により、若手デザイナーがことごとく経済的苦境に立たされて行った時代でした。

<マーケット型>
ロンドンで94年に始まった什器だけ入れたような店をマーケット型と呼びたいと思います。ジョン・ガリアーノ、artekなど洋服から家具まで、他のデザイナーを呼んで、ビル丸ごとの場の雰囲気を作っています。
それでも不況が長引き、服は売れない時代が続きます。

<グラミンフォン型>
インターネットに普及していったことにより、情報のコントロールが出来ない反面、ファッションブランドとは縁がなかったような地域でも、コム・デ・ギャルソンのことを知っている人がが増えていきました。そういった地域に、ゲリラストアのように、一年間限定で、その地域にいる人たちに出資してもらってお店を作っていき、21都市、世界各国に店舗を持ちました。

ゲリラルール
1、一年以内に更新
2、既存の空間を生かす
3、商業地域から離れたところ
4、最新シーズンのものだけでなく、他のブランドも混ぜる
5、地域にいる人が経営

こういったゲリラルール自体がデザインであると言えると思います。

さて、現代を見ると、匿名で、好きなことだけ発言、好きなときに参加、いつでも離脱可能、自分のことは見られないにも関わらず、他の人のことは分かるという2ちゃんねるは、日本型の情報空間であると言われています。浅子氏は、今年、銀座にできたコム・デ・ギャルソンの最新の店舗の1つであるDOVER STREET MARKET GINZA COMME des GARÇONSについて、「2ちゃんねる的な空間とも言える、ある意味で懐の深さがあると思います。若手からハイブランドまで入れた店は、世界でここしかないと思うし、歴史的に見て、評価されるべき事件だと思っています。」とおっしゃっていらっしゃいました。

その後、受講生や来場者から、浅子氏の仕事や、ファッションに限らずブランドのあり方や、ルールの使い方などについて質問があり、レクチャー後にも、直接多くの質問に答えて頂きました。
3回のインテリアデザインに関するレクチャーシリーズは、多彩な講師陣のおかげで、過去40年ほどのインテリアデザインの歴史を圧縮し、エッセンスを取り出して、見せて頂いたようなスピード感溢れるものになりました。
ぜひこういったレクチャーの後にはSSD受講生の間で、活発に議論が展開されることを期待しています。

1)講義内容について
日時:2012年7月11日(水) 19:00-22:00
会場:阿部仁史アトリエ(仙台市卸町3-3-16)
講師:浅子佳英(タカバンスタジオ/インテリアデザイン、建築設計、ブックデザイン)
コーディネーター:五十嵐太郎(東北大学都市建築学専攻教授)
司会:岩澤拓海(せんだいスクール・オブ・デザイン)
内容:「最近のインテリアデザインについて」

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