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[Interactiveレクチャー #2]SSDハウスレクチャー飯島直樹

2012.06.19

2012年6月11日(月)、仙台市卸町にてInteractiveレクチャー、第2回目SSDハウスレクチャーが開催され、「自身の作品紹介と日本のインテリアデザインの変遷」と題して飯島直樹氏(飯島直樹デザイン室代表/インテリアデザイナー) をお招きしました。

前回の鈴木紀慶氏のお話に引き続き、「境界線上のインテリアデザイン」をテーマとし、普段なかなか言語化されないインテリアデザインをめぐる思考とそのジャンル横断的な試みについて、お話いただきました。



まず、空間設計とアートとの接点について、話して頂きました。ジャクソン・ポロック(20世紀のアメリカを代表するアーティスト)の作品は「all-over」と評されましたが、現代においてもSANAAによるトレド美術館ガラスパビリオンに代表されるような建築と一致するところがあるそうです。

ご自身も、アートとインテリアデザインについて考えながらデザインをするデザイン事務所「スーパーポテト」(代表:杉本貴志)に在籍されていたので、アンディ・ウォーホールのポップな感覚やマルセル・デュシャンのように形になる前の概念をデザインするということにも影響を受けていらっしゃったそうです。スーパーポテトがディレクションしたショッピングセンター上階にある900坪のレストラン街のデザインを担当された際、店舗を区切るような壁は最小限に抑えて、空間としての差異がないall overな空間を実現しようとされたそうです。

そのあとは、ご自身が予備校生であったという1968年を起点に時系列でご自身の作品とその時代背景について話して頂きました。

1968年
大きなものがたりのネジレ。
飯島氏が予備校生だった1968年は、全共闘が結成され、三億円事件が起きた年で、時代は、世の中が大きくねじれて変わっていくという感覚があったのかもしれないと回想されています。マルクス主義が良いかどうかは別としても、構造主義について、知っておくのはいいということで、学生の皆さんに向けて、「寝ながら学べる構造主義(内田樹著)」をお薦めされていました。また同時期に現象学も流行っていたり、ドナルド・ジャッドの影響も日本に入ってきていた時代だそうです。飯島氏は「ジャッドの作風は、空間を捉えるときの意味・機能などの制約を外した理想的な原型のような気がして、影響を受けました。倉俣さんはその在り様を日本発のインテリアデザインとして作品に昇華していたと思います。」と説明していらっしゃいました。

1976年
飯島氏スーパーポテト入社。倉俣史朗氏の活躍。BEAMS(セレクトショップ)オープン。ポパイ(雑誌)創刊。
サブカルチャー、ファッションなどの影響がインテリアデザインに入ってきた時代とのことです。BEAMSによって百貨店形式ではない小売のデザインが生まれ、ポパイはアメリカの文化を紹介し、人気を博していました。インテリアデザインは商業と結びついているので、この時代から90年代まではファッションと強く結びついていました。
当時のスーパーポテトは、ミニマル・アートのように最低限必要な要素だけで構成されたインテリアなどを手がけていました。通常から考えると、とてもできないような徹底したミニマルさだったのですが、それは、アートに理解を示し、文化を中心とした経営戦略を進めていた西武百貨店の中の喫茶店であったから実現したそうです。それは、企業が文化事業を率先して行っていた時代だからこそ生まれたデザインと言えます。

1985年
飯島氏、スーパーポテトから独立。
明日の仕事の心配はしなくて良いというような風潮があるほど、日本経済が良い状態にあった時代だったそうです。60坪の店舗デザインをNYで手がけた際には、アメリカの施工技術は良くないので、日本から材料を持っていって、わざわざ日本の職人さんが渡米して1mmの狂いもなく組み上げたほど、予算に余裕があったのですが、予算の話はさておいても、こういった精度で施工ができるのは日本の職人だけだということです。ミニマルが流行っていたのですが、本来は余計なものを剥ぎ取って本質的なものを残すはずが、シンプルでありさえすればいいというずれた理解も広まっていたそうです。また、ミニマルに反抗して、近藤康雄のようなデザイナーが出てきました。

1989年。
大きなものがたりの終わり。
この年、ベルリンの壁が崩壊し、2年後には、共産主義の元祖であったソビエト連邦が崩壊し、マルクス主義が終焉をむかえました。
日本もバブル経済の崩壊を経て、インテリアデザインもそれにつれて静かなものに変化していったそうです。
飯島氏は、「つくづくインテリアデザインは時代の流れから逃れられない」とおっしゃいます。

数々の作品をご紹介頂く中でで印象的だったのは、「人間の知覚というのは、たとえ埋まっていて表面しか見えなくても鉄板が5mm厚なのか10mm厚なのか分かるものなのです。」ということでした。インテリアデザインは、まさにその物質性を扱っていて、素材で空間を表現できると言い切りたいくらいに身体的な側面があるそうです。

受講生からは、建築とインテリアデザインの違いや、インテリアデザインへの時代背景の影響などの質問がありました。

数年でなくなってしまうことが多いインテリアデザインについて、どう思っていらっしゃるか、という質問に対して、「それは宿命。記憶と知覚の奥底に残れば、それで良い。知覚に残ることこそ、本質である」という倉俣氏のコメントを取り上げてご説明頂きました。インテリアデザインというものが販売促進のツールとして以上の何かを獲得できるという確信や自信があるからこその発言は本当に力強いです。

飯島氏が80年代以降の新しい批評家と評する東浩紀氏と『思想地図』という思想誌で一緒に仕事していた浅子佳英氏が次回の講師です。次回は、インテリアデザインについてのレクチャー3部作の締めくくりとなります。ぜひお誘い合わせの上、ご参加ください。

1)講義内容について
日時:2012年6月11日(月) 19:00-22:00
会場:阿部仁史アトリエ(仙台市卸町3-3-16)
講師:飯島直樹(インテリアデザイナー/飯島直樹デザイン室代表)
コーディネーター:五十嵐太郎(東北大学都市建築学専攻教授)
司会:斧澤美知子(せんだいスクール・オブ・デザイン)
内容:「自身の作品紹介と日本のインテリアデザインの変遷」

2)次回講義について
SSDハウスレクチャー#3
「最近のインテリアデザインについて」
講師:浅子佳英(タカバンスタジオ/インテリアデザイン、建築設計、ブックデザイン)
日時:2012年7月11日(水) 19:00-22:00
会場:阿部仁史アトリエ(仙台市卸町3-3-16)
コーディネーター:五十嵐太郎(東北大学都市建築学専攻教授)
司会:岩澤拓海(せんだいスクール・オブ・デザイン)
一般公開(ドリンク500円)
申込み方法:エントリーフォームよりお申し込みください。

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