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[Interactiveレクチャー #2]SSDハウスレクチャー稀温

2011.12.28

2011年12月20日(火)、仙台市卸町にてInteractiveレクチャー、第2回目SSDハウスレクチャーが開催され、「『場』をつくる」と題して稀温氏(コーディネーター、KION STUDIO)にお話を頂きました。



まず『稀温』という名前の由来について説明していただきました。広告代理店で働いていたときに、先輩から「名字がなければ、結婚して名字が変わっても使える」として『稀温』という名前を頂いて、そのまま使用中とのことです。稀温=特殊なことをするけれど、人情がある人を目指そう。という思いが込められています。

ご自身の仕事は、プランニングからプロダクト、現場まで、ファッションからインテリア、グラフィック、展示イベントまでいろいろなジャンルにまたがっているので、単に『コーディネーター』と称していらっしゃいます。
現状(競合マーケット、ターゲット、立地)分析から、プランの『モト』を発見し、商品(モノ、コト))・空間(意匠・配置)・販促(広告、パッケージ、接客)をマネージメントするのが、稀温氏の仕事概要です。
今まで手がけられた仕事をスライドショーでご紹介頂きながら、説明していただきました。

クリエイターズマーケット
クリエイターたちが、仕事を頼みたい人と定期的に会える場所を作りたいと思ったことから、1999年に始まる。当初は200ブースの出展者を自ら出向いて勧誘。1992年にデザイン博3周年記念イベント「アートバザール」を運営した経験が役に立ったとのことです。
アーティストの村上隆氏がプロデュースするアートフェスティバルとコンペの複合イベント『GEISAI』では、クリエイターズマーケットどうしもつながろうという目的で、スペシャルブースに招待されて参加したが、そのときの実感として、やはり来場者は何か買いたいんじゃないかなと思って、マーケットという点は大事にしようと思ったそうです。
ブース作りを促進するためにブースコンテストを開始したり、ブースをクリエイターに振り分ける際に、既に確立された人の横のブースに、これから伸びてほしいなと思う人を置くと、感化されてがんばったりするのを見るのが好きだったり、参加するクリエイターたちを含めたネットワークをさらに活性化したいという原点の思いが揺るがないことが、イベントとして年々拡大して行く原動力となったように思いました。

<さくらアパートメント>
ビジネスホテルと和風旅館だったさくらや旅館をリノベーションし、最大40件ほどのテナントを入れたプロジェクト。名古屋の栄三丁目という繁華街にあり、路地を入った奥にあるが、それは発見する楽しみになるのであえて立地はそのまま。
家具屋、古着屋、花屋、鞄屋、美容院などが入ったが、家賃が安い3階以上は、実際に製作も行っているアトリエタイプの店舗が入り、自然と上下階での棲み分けがされ、常時入っている店舗だけでなく、貸スペースも備え、コンテンツの多様化、活性化が成功し、話題を呼びました。
テナントたちにとっては、近くに似た業態の人が大勢いて、相談し合ったり、刺激を与え合ったりできるし、異業種のクリエイターが近くにいることで、車のショールームでの展示をさくらアパートメントのテナントが一手に引き受け、車の色に合わせた特注プロダクトで製作したりすることが可能となり、利点は多かったように思うが、惜しまれつつも2007年にクローズ。6年間の間に排出した100ほどの店が新たな場で展開しているという点は、稀温氏がクリエイターズマーケットで作り上げてきたネットワークの力の証のように思えます。

パークギャラリー
名古屋のテレビ塔の改装後、テレビ塔4Fにできたアートを取り扱わないギャラリー。杮落としで行った『はじまりの白、』という展示は、新しくなった改装後の空間を見せたいという意図と、白というテーマで40人の統一が簡単に図れるという意図により立案。アートを取り扱わない理由について、アートは批判しにくいが、プロダクトは危ない、洗濯できない、脆いなどの指摘がしやすいので、取り扱うもののクオリティを保ちやすいという説明を受け、ではなぜ店舗ではなくギャラリー形態でないとならないのか、と疑問が湧いたが、その点については、プロダクトをギャラリーのように空間の余白「ものの額縁」を持ってディスプレイすることでいつもと違う商品との出会い方ができるから、とのことです。

<オリジナルプロダクト>
洗わないでシミがつくといい味になっていくモルタルでできたコースターや、
テレビ塔のピンズやTシャツなどオリジナルグッズを各作家に依頼し、パークギャラリーで取扱中。

質疑応答の後、最後に会場で建築関係者が多く聴講しているのを受けて、「最初にいきなり箱をつくらないで、本当にこの箱は必要なのか、ということを考えて、作らないでもいいという提案もできるような建築家でいてほしい。そして作るのであれば良い箱、残る箱を作って欲しい。」というメッセージを送って頂きました。
ちょうど良い「場」というのは、空間のデザインだけによるものではなく、そこに関わる人や目的に適したネットワークに負うところは少なくないということを再認識しました。

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