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ポスターコンペ審査結果発表

2011.04.29

2011年度春学期特別講座「復興へのリデザイン」
ポスターコンペにご応募頂きましてありがとうございました。
審査結果を発表します。


【最優秀賞】
鈴木文土[畠山敏デザイン事務所]

審査評:モニュメンタルな彫刻を思わせるグラフィックに一瞬違和感がよぎったが、今はそんな求心的なモニュメントさえも必要な時代ではあるかもしれないと直ちに納得した。オプティカルなパターンの中にわずかながら光が見えることは意識的に演出された事だろう。非常に抽象的だが、応募案のなかで唯一希望や未来を感じさせるデザインだった。日本語タイトルや細かな文字情報に関しても丁寧に美しく調整されており、これも他の応募案に見られない評価点となった。

【優秀賞】
木村亮太[ユニグラフィック]

審査評:キーワードを方位の記号に当てはめるコンセプトはとてもおもしろい。レイアウトも手慣れており完成度も高かった。文字情報もきれいに調整されており評価できる。ただ、視覚的なモチーフが総合されるとクラシックな海図を想起させることが気になった。過去に参照点を求める姿勢や、船による移動というスローさが、副作用として表出されてしまったのが残念だ。

【佳作】
山田祥平[宮城大学大学院]

審査評:折り鶴のパターンは完成度が高く、非常に美しいばかりでなく強さがある。
レイアウトとしてその上に乗った白抜きのロゴも心地よい。仙台の七夕飾りを想起させることで仙台を表象するとともに、震災で亡くなったり心身に傷を負った方々への追悼と見舞いの意をとてもよく表している。しかし未来へ向かう復興の意識とは方向が異なるように思えた。残念ながら、日本語の情報の扱いがやや稚拙であり、特にチラシ裏面の提案が無かったことに文字情報への意識の希薄さが現れているように思った。

【応募作品】

佐藤悠[SSD/ディストーション・ヴィーツ]

審査評:
再デザインのREをモチーフにした繊細なデザインは好感をもてた。ただ、「RE」はリサイクルやリノベーションなど建築界ではいささかありふれたモチーフとなりつつあるのが実情で、復興という事を表象するには今一歩であるように思えた。繊細ではあるが、構成として緊張感が欠如していることが残念だ。

小泉和信 恋水康俊 澤田真緒[東北大学/JUKKU]

審査評:ドットによるパターンのオプティカルな効果が美しく、仙台の復興が日本全体への振興へと波及する様を表す波のパターンもおもしろい。方向性としてはとても良かったのだが、この2つのグラフィック的なアイデアと文字のレイアウトが乖離してしまっているのが残念だった。タイトルが目に入りにくいばかりでなく、ポスターの文字情報の処理がせっかくのグラフィック的なアイデアを阻害してしまっている。裏面がしっかり提案されているのは評価できるが、タイポグラフィーはワードでの調整以上のものではなく、文字に対する意識の希薄さを感じた。

遠藤和紀[SSD/デザインマトカ]

審査評:ブルーシートのモチーフは生々しくリアリティーがあり、力強いモチーフであるといえる。しかし、ブルーシートのアイデアは、阪神大震災、中越地震などの復興企画のグラフィックで既視感があるのは否めない。また、画像のスケール感において、非常に個人的な視覚であることは、今回の俯瞰的な視点からの再デザインを考える企画からは少しずれてしまうように思えた。タイポグラフィーが弱く、モチーフの強さをうまく生かし切れていないのが残念だ。

阿部原己[宮城大学]

審査評:テーマの復興とメモ帳やノートのモチーフがどう結びつくのか理解できなかった。資材がない中、その場にあるもので間に合わすブリコラージュがテーマならば、もう少しそれを深める必要があったのではないか。たとえばタイポグラフィーも手書きやワープロ文字のコラージュにするとか。モチーフが視覚的なアクセントにとどまっているのが残念だ。

応募総数:7作品
審査員:秋山伸[シュトゥッコ]

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