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[Interactiveレクチャー #1]SSDハウスレクチャー鈴木紀慶

2012.05.31

2012年5月24日(木)、仙台市卸町にてInteractiveレクチャー、第1回目SSDハウスレクチャーが開催され、「倉俣史朗論」と題して鈴木紀慶氏(スズキeワークス代表取締役/編集者)にお話を頂きました。



五十嵐先生より、今期のInteractiveレクチャーは「境界線上のインテリアデザイン」をテーマとし、普段なかなか言語化されないインテリアデザインをめぐる思考とそのジャンル横断的な試みについて、3名の講師をお招きするとの説明がありました。

日本のインテリアデザインの歴史は、倉俣史朗氏の歴史を辿ると見えて来るとのいうのが、長年、日本のインテリアデザインを見てこられた鈴木氏の見解です。鈴木氏と倉俣史朗のデザインとの出会いについて、武蔵野美術大学建築学科に在学中、フロムファーストビル(設計:山下和正)のイッセイミヤケの店舗にあったキャンティレバーの机を図書館で見たときの衝撃、それがデザインに目覚めるきっかけを与えてくれた、とのことです。息が上がるような衝撃を受けて、インテリアデザイナーがここまでやるのはなぜかと思ったそうです。恩師であった竹山実氏が、当時よく商業デザインを手がけていたのでJAPAN INTERIOR DESIGN編集部に紹介して頂き、始めはメディアを通して何かを学べたら良いなと思っていたそうですが、情報を加工する面白さを発見して、現在に至っているとのことでした。

その後、独立されてからの活動で特筆すべきは、雑誌『Brutus』で「ブルータス不動産」という連載を担当され、デザイナーズマンションブームの先駆け的存在であったこと。当時の日本の不動産業界は今よりも保守的でデザインを取り入れようとしていなかったのですが、デザイナーズマンションという言葉が広まるにつれて、建築家と一般の人の距離が縮んだと感じていらっしゃるそうです。また、『20世紀建築ガイド―ヨーロッパ・アメリカ14カ国38都市』(美術出版社)いう本を出版されています。最先端の建築だけでなく、20世紀の建物を見直したいということで企画され、建築に興味を持ち始めている建築専門以外の人たちも読者対象として作ったそうです。

また、最近の鈴木氏の活動についてお話し頂きました。内田繁氏の監修により、インテリアデザインの歴史をまとめる企画の話や「66人の建築家がつくった『たったひとつの家」』(世界文化社)の出版記念(リビンデザインセンターOZONE、2010年)の様子の写真を見せて頂きました。『建築家(中村好文)と建てた「小さな家」』(世界文化社)は、長年多くの住宅を取材されてきた鈴木氏であっても、住宅の住み心地は住んでみないと分からない、というので、中村好文氏に設計を依頼し、ご自宅を建てた際の話です。

今回、お話し頂いた倉俣史郎氏については、『未現像の風景―記憶・夢・かたち』 (住まいの図書館出版局、1991年)という倉俣氏がデザイン以外のことについて書いた本を編集者として担当していらっしゃったそうです。この本は、内容のほとんどが倉俣氏がこどものころの記憶をまとめたもので、戦前、戦後の体験談、夢の話などが収録されています。倉俣氏は、1991年の2月に亡くなってしまったので、残念ながら同年4月に出版された本を見ることがなかったのですが、20年後の命日である2011年2月1日に21_21 DESIGN SIGHTでの展覧会が始まりました。
最近は倉俣氏を知らない学生が増えてきているので、もっと多くの人に知ってほしい、との思いから、鈴木氏は編集者として本を出したいと思っているそうです。

それから、倉俣氏の作品について、1967年の独立して間もない頃から亡くなる1991年まで貴重な資料をコメントとともにご紹介頂きました。アーティストである横尾忠則や高松次郎とのコラボレーションや、ドナルド・ジャッドの影響、都市住宅の提案など、単なるインテリアデザインの枠に収まらない活動をしています。イカ釣り用の照明をインテリアに使う転用の手法を用いたり、当時の新しい素材であったアクリルにいち早く挑戦するなど、常に時代の先端をいっていたことが窺い知れます。技術とデザインについては、ガラスを透明に接着剤する技術が出来た話を聞いたら、30分で「硝子の椅子」の図面を書き上げたという逸話があります。倉俣氏は、スケッチは書かずに、頭の中でデザインをつめて、いきなり図面を書くといわれていました。日頃から素材についてよく理解していたのではないでしょうか。
技術という点で改めて作品を見ると、施工が非常に難しいものが多いです。技術力に裏打ちされた軽やかさを持っている、その点で人が息をのむような衝撃を与えているのではないかと思いました。
また、写真にどう収めるかということに気をつかっていて、コマーシャル写真で活躍していた小川隆之氏や篠山紀信氏に撮影を依頼していたとのことです。

受講生からは、倉俣氏のデザインへの姿勢や鈴木氏が中村好文氏と建てた自邸について質問がありました。また五十嵐先生より、『Casa Brutus』は『ブルータス不動産』がきっかけだったのかという質問がありましたが、鈴木氏は月刊誌になる前のムックの立ち上げに関わっていらっしゃったそうです。『Casa Brutus』は建築がファッションやグルメと同等に扱われて、一般の人が見てくれる、そういう時代が意外に早く来たなと思っていらっしゃるそうです。

1960年に『INTERIOR DESIGN』が、「インテリア」の定義をしようと試みたのですが、アントニン・レーモンドに定義を求めたら、建築家だけでできるという返答だったそうです。室内デザインも手がけていたフランク・ロイド・ライトのもとで学んだことや時代背景からすれば、当然の返事かもしれません。「インテリア」という言葉自体も1965年ごろからでてきた単語で、それまでは「室内装飾」と呼んでいたとのことです。
インテリアデザインの仕事をしていた剣持勇はレイモンドにたてつくのですが、インテリアデザインは商業デザインと関わっていたので、低く見られていたそうです。

今期のInteractiveレクチャーにお招きしている三人の講師は、既知の仲とのことで、今回の連続レクチャーにあたり、集まって話をしたとのことです。インテリアデザインは何かと考える、という連続レクチャーにあたり、後続の二人からは作り手の立場の話を聞けると思いますが、今回はインテリアデザインについて考える切っ掛けになってほしいと思って、講義を準備して頂いたそうです。今日の鈴木氏の話を踏まえて、飯島氏、浅子氏の話を伺うとより深いインテリアデザインの世界が分かるのでしょう。

1)講義内容について
日時:5月24日(木) 19:00-22:00
会場:阿部仁史アトリエ(仙台市卸町3-3-16)
講師:鈴木紀慶(有限会社スズキeワークス代表取締役/編集者)
コーディネーター:五十嵐太郎(東北大学都市・建築学専攻教授)
司会:阿部篤(せんだいスクール・オブ・デザイン)
内容:「倉俣史郎論」レクチャとインタラクティブなディスカッション

2)次回講義について
SSDハウスレクチャー #2
「自身の作品紹介と日本のインテリアデザインの変遷」
講師:飯島直樹(インテリアデザイナー/飯島直樹デザイン室代表)
日時:2012年6月11日(月) 19:00-22:00
会場:阿部仁史アトリエ(仙台市卸町3-3-16)
コーディネーター:五十嵐太郎(東北大学都市建築学専攻教授)
司会:斧澤美知子(せんだいスクール・オブ・デザイン)
一般公開(ドリンク500円)
申込み方法:エントリーフォームよりお申し込みください。

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