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[PBLスタジオ3 社会軸] 第二回(仮称)国際センター駅周辺整備に関する懇話会 社会軸発表時あいさつ

2011.02.03

「新しい公共」という言葉が様々な所で使われるようになってきています。今回の公的な地域教育プロジェクトである「せんだいスクール・オブ・デザイン(SSD)」と市の公式な枠組みである「(仮称)国際センター駅周辺整備に関する懇話会」が、互いにコミュニケーションしつつ仙台の重要なエリアの将来像を描こうという試みは、こうした「新しい公共」を作り出す貴重なチャレンジだと受け取っています。
具体的に整理するとその意義は次の3つにまとめられるのではないでしょうか。ひとつは、都市仙台を代表する重要な場所なので、専門的な意見を出来るだけ広く集めて、オープンに議論することが不可欠だということです。そのためにSSDという教育組織の知見を吸い上げることには意味があると思います。

二番目には、市の新総合計画の中心テーマとして掲げられている「市民力」です。今までは行政マンやコンサルタントが企画を考えて、一般市民がそれに意見を述べるといった、プロ対素人という図式だったのですが、都市マネジメントの仕事が高度化し、行政の資金も限られてきたために、それでは限界が生じてきた。そこで、専門的知識や技術を身に付けた市民が責任を共有しながら創造的代案を示していくということが期待されてきている。この「プロ意識を持った市民(プロ市民)」による協同参画、それこそが「市民力」の実態のひとつではないかと考えています。お金が十分に無く、人口も減少する現代では、従来のガス抜き意見交換会ではなく、いっしょに知恵を絞って、ある部分は責任を分担する、そうした強い方法論が重要だと思う訳です。
三番目は都市仙台の競争力です。都市の力を高めるために創造産業を創出することの必要性は広く理解されています。けれどもそう言うとコンベンションビジネスのような大文字のビジネスに目が行ってしまいます。しかし、小さな事業者による草の根的な活動と大きな活動が対になっていないと創造的活動は地域に定着しません。SSDは、地域でクリエイティブビジネスに従事する方々が、大きな視野を持って実践的に活動する力を付けることを目標のひとつにしていて、わがSSD社会軸メンバーも8割がそうした社会人です。21世紀はコミュニティビジネスなども発展しますので、こうした公的な活動に参画しながら、将来の仙台の創造産業を担う力を身につけていく、実地訓練的な意味合いもある訳です。
もちろん、そうは言ってもSSD自体、この11月から始まったばかりで、しかも夜学的なプロジェクトでもありますのでそれなりの限界も持っています。委員の先生方には、彼らの提示を、新時代の市民参加の試金石として、厳しくも温かい目で鍛えていただきたいと思っております。

              小野田泰明(SSD社会軸スタジオマスター、東北大学教授)

   2011年1月18日 第二回(仮称)国際センター駅周辺整備に関する懇話会あいさつより

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