メニュー

Archive

[Interactiveレクチャー #2]SSDハウスレクチャー池田修

2010.12.27

2010年12月21日(火)、仙台市卸町にてInteractiveレクチャの2回め、SSDハウスレクチャが開催されました。

建築家や写真家も参加するPHスタジオを率い、横浜を拠点に創造都市のポテンシャルを上げる活動体BankART1929の代表をつとめる領域横断型のアーティスト、池田修さんをお招きしました。


PH STUDIOについてのプレゼンテーションでは、「きちんとしたゲリラ」をテーマに、捨てられた家具を題材にした作品「家具Φ」、猫の抜け道をたどりながら都市をカメラで追っていく「えびす」、家型が街を練り歩く「ホームレスハウスプロジェクト」など、場所のコンテクストをふまえながら都市に展開するプロジェクトを多数紹介してくださいました。
また広島県の灰塚ダム建設にともなって伐採される森の木を使い、ダムに沈む村で船を組み立て、水位の上昇を使って山の上まで船を持ち上げるプロジェクト「船、山にのぼる」はDVD化もしています。ちなみにこのDVDはSSDライブラリにも寄贈してもらいました。

BankART1929については、アートを量も方向も持たない質点と独自に定義し、プロットすることがその価値であると指摘していました。また、まだ一般化していない価値を発掘するアートプロデューサーを「ある種の二枚舌」と表現するところがユニークでした。
公設民営であり、補助金のほか自己収益をあげていること、また有識者による推進委員会が組織されているなどが特徴です。さらには運用に関する自由度が高く、歴史的建物を利用したフレキシビリティの高い空間利用、さらには時間のフレキシビリティも高く年中無休、24時間利用可など、価値の高い立地をさらに高度活用しています。
またBnkARTスクールや、施設管理を兼ねた23時まで開いてるカフェ・パブ、店員はいないが続けるべしと言うBankARTショップ、卒展などのコーディネート事業などさまざまなアクティビティが展開しています。
これを池田さんは駅、あるいは経済活動のエンジンでありたいと表現していました。

ちなみに横浜市ではクリエイティブシティ(文化芸術創造都市)実現に向けて、ナショナルアートパーク構想、創造界隈の形成、映像文化都市、横浜トリエンナーレ、の4つのプロジェクトがあります。BankART1929も都市再生の起点となり創造都市プロジェクトのひとつとして位置づけられています。

休憩をはさみ後半は受講生とのディスカッションを実施しました。
ここでは質問とその回答を少しだけ紹介します。

Q:BnkARTスクールの卒業生のその後は?
A:活躍しています。コンペをとるなど。

Q:PHの活動において想定を超えた反応はありましたか?
A:船。古木の移転などを関与者が独自に動き出したことなど。継続したことがよかった。

Q:「点」であるというアートの定義について、「点」とはクリエイターが発信するものであるのが場所から発掘するものであるのか。
A:都市において「変なもの」を許容し、意味づけてあげる存在が必要。わからないからといって拒否してはならない。

Q:もしBankARTが新築だったら今と違った?
A:名前は「淀む」の「バンカー」。もはやブランド化された固有名詞なのでほかの場所でもBankART。日韓の国交をテーマにするような活動には厳密には場所はいらないけど、現在の場所にもこだわってはいない。たとえばBankARTベルリンなどこれからつくりたい。

Q:運営者選定コンペの決めては?またアートの外部の人への翻訳の手法にどんな工夫が?
A:言葉を尽くします。出さないととれないのでとにかく出す。ホスピタリティについて北川フラム氏に鍛えられた。オープニングパーティを土曜日に開いておこられた。企業の人が背広で来れない。金曜日が鉄則。そのような人脈からプロジェクト化していくことも。

Q:既存のフレームにはまらず「棲む」というコンセプトとイエガタというフレームがどのようにリンクするのか。
A:その問いには答えがまだない。師である川俣正氏からいかに逃れるかがテーマ。彼は極めてデッサンがうまかった。抽象的な作品では太刀打ちできず、具体的かつ連想的なイメージを用いることに当時はこだわっていた。

Q:状況がゆるせば建築設計のフィールドに戻ることはあるのか。そのときBankARTの経験がいきるのか。
A:いまは状況が許さないのでは。ただしアノニマスに発信する態度は都市の魅力そのものであるしBankARTの目指すところではある。それはずっと連続しているし、周囲に広がっていくとよいと考えている。作歌性を発揮するような仕事はあまり考えられない。

Q:都市がわからないものを抱え込んでいくべきということでしたが、「針治療」のような「点」としてのアートがどのような「善きものごと」があるのか
A:NYやパリなど。瀬戸内や妻有など。

Q:当初「ゲリラ」というお話があったPHとBankARTの連続性は?
A:主観的には変わっていないと思っている。

次回は2011年1月20日(木)に建築家で早稲田芸術学校校長の鈴木了二さんをお招きします。
(阿部)

メニュー