2010.12.20
2010年12月17日(金)、本江中西スタジオの第4回目講義「中間発表」を実施しました。
ここまでの議論をふまえ、グループごとに提案の概要をプレゼンテーションしてもらいました。
Bグループは「余白の変容」というタイトルで発表しました。
泉中央駅と長町駅をケーススタディとして駅のコンコースを観察し、「余白」と呼べそうな人の振る舞いの発見をデザインにフィードバックするなど。また距離、重さ、時間など、マルチパラメータで「余白」を浮かび上がらせようというプレゼンテーションが印象的でした。
講評としてはまず「余白」をいかに「余白」として扱うかのオペレーションが課題です。たとえば「余白」を表す新しい単位をつくるとよいのではないか。
また「佇む」と「立つ」の違い(@鈴木毅)のように「余白」は観察者がトリミングする構図によって変わる点にも注意する必要があります。
Cグループは公共交通を「スポーツ」に見立てることで、スポーツの持つ規範や遊戯性にフォーカスできないかというTran(sport)ationという提案でした。
究極的には「どこでもドア」であるべき交通のプロセスに注目している点が面白いと思います。ゲームはストーリーに価値があるし、だからこそ感動できる。
またオリンピックのように都市的な出来事としても捉えることができるのではないか。
さらには「ダイエット」という補助線によってシステムに人の振る舞いを組み込もうとしている点が冴えているなあと思いました。
またこのグループはスライドを床面にすごろく状に並べるプレゼンテーションが秀逸でした。「システムがフィジカルなものである」というコンテンツを、フィジカルなプレゼンテーションとして提示した点が素晴らしいです。展開が非常に楽しみな提案でした。
Aグループは既存の交通をそれぞれ接続しながら、まちを案内してくれるアテンドシステムの提案でした。
たとえばある人物を選択するとその人のおすすめスポットを既存の交通網から結びつけてルートにしてくれる。使い込んでいくとアーカイブやリコメンドが充実していくなど。これによって既存の点と点を結びつける新しい交通のネットワークがつくれるというアイデアでした。
仙台市の人口構成比を根拠としてアテンドの顔ぶれを決める、あるいは仙台市の交通に携わる人を集めるなど、アテンドのラインナップそれ自体がある公共性を持ち得るのではないか。たとえば自転車屋さんのおすすめするサイクリングマップやタクシードライバーの街ネタなど。
タウン情報誌などすでにサービスとしてはあるなどアイデア自体はあまり目新しいものではないので、たとえばユーザーの側のインターフェースなどにアイデアが必要です。また情報をどうやって集め、どうやってマッチングさせるかが問題となります。
客側ではなく、おすすめをしたい人、情報のオーナーの側でサービスを構想するべしとのアドバイスがありました。
以上、3グループによる中間発表でした。
もっと遠くにアイデアをジャンプできるのになあというグループもあれば、飛びすぎてちゃんと着地できるのだろうかというグループもあり、とても中間発表的な内容だったのではないでしょうか。
さて、ここまではアイデアを遠くに投げ発散するフェーズでしたが、ここからは徐々に収束させ、案を洗練させていければと考えています。
ともかくみなさんお疲れさまでした。
(阿部)
*
1)講義内容について
・中間発表
グループごとに提案の概要をプレゼンテーション
2)配布資料について
ハンドアウト#4[PDF:737KB]
3)次回講義について
日時:2010.12.18[土]10:00-12:30
場所:ギャラリー・トンチク
講師:本江正茂、中西泰人、茅原拓朗
内容:レクチャ「環境から情報をとらえる身体」茅原拓朗